2019.6.20

福生の蔵

東京都福生市にある明治時代に建てられた蔵の改修に携わらせていただきました。お施主さんは当初、シロアリにやられてしまった柱や土台の補強と、漆喰壁を修復するだけの工事を考えていたそうです。工事を進めるうちに、せっかくなので何かに使うことができないかと考えるようになり、声をかけていただきました。設計に加わった時点では、すでに朽ちた土台は交換されて、補強のための檜の柱が設置されてました。

蔵のオーナーさんは、インドのタラブックス社の絵本を日本語に翻訳して出版している出版社を営んでいます。その中に「夜の木」という絵本があります。黒い手漉き紙にカラフルなシルク印刷で樹木が描かれた本で、とても美しい作品です。その「夜の木」の原画を展示できたらと想像しながらシンプルなギャラリーを計画しました。ギャラリーの空間としては柱が見えない大壁の空間である方が使い勝手は良いのですが、補強の立派な檜の柱は隠してしまうにはあまりに勿体ないので、あえて真壁とすることになりました。

電気と水道を引き込み、小さなミニキッチンとトイレを設置しました。狭い空間にギリギリの寸法で階段も新たに設置しました。階段上のペンダント照明は地元福生の作家水田典寿さんによる廃材を再利用したものです。

絵本に関わる展示だけでなく、将来的には地元多摩地区でものづくりに携わる方々による展示会や、庭を利用したマーケットのようなイベントも計画しているそうです。

Kura (traditional Japanese storehouse) in Fussa

Renovation of a Kura (traditional Japanese storehouse) built in Meiji-era in Fussa, Tokyo.